仕様書が完成していなくても、プリント基板開発は始められる
プリント基板やデジタル回路、FPGAなどの開発を依頼するとき、意外と時間がかかるものの一つが「仕様書の決定」です。
開発会社によっては、
「仕様書をしっかり決めてからでないと開発を始められません」
という場合もあります。
もちろん、仕様を明確にすることは大切です。
しかし、試作やデバッグなど、できるだけ早く実物が欲しい場面では、仕様書を完成させること自体に長い時間をかけられないこともあります。
では、仕様書が完全に決まっていない状態から開発を始めることはできないのでしょうか。
私は、ある程度であれば可能だと考えています。

最低限決めるべきところから始める
プリント基板の場合、何も決まっていない状態から作ることはさすがに難しいです。
例えば、
- 電源電圧
- 入出力の種類
- 必要なインターフェース
- 基板サイズ
- 最低限必要な機能
といった、後から簡単には変更できない部分については、ある程度決めておく必要があります。
一方で、細かい動作や制御方法まで、最初からすべて決める必要があるとは限りません。
特にFPGAやソフトウェアを使うシステムでは、基板完成後でも変更できる部分があります。
もちろん何でも変更できるわけではありませんが、「後から変更できる部分」と「最初に決めなければならない部分」を分けて考えることで、開発を早くスタートできます。
試作やデバッグでは特に有効
この方法は、試作基板やデバッグ用基板では特に有効です。
試作では、
「まず信号を確認したい」
「センサーを接続して動かしたい」
「FPGAで画像処理を試したい」
「既存装置との通信を確認したい」
など、目的そのものは比較的はっきりしていることが多いからです。
製品版のように細かい仕様をすべて決めるよりも、
「まず必要な機能だけ搭載して、実際に動かしてみる」
という進め方のほうが適している場合があります。
実物ができることで、逆に仕様が見えてくることもあります。
仕様変更を前提に見積もる
受託する側にも工夫が必要です。
仕様が完全に固定されていない以上、変更が発生する可能性があります。
そのため私は、
「現在決まっている仕様なら、この範囲まで対応する」
という形で開発範囲を決め、多少の変更を見込んで余裕を持った見積もりをする方法が現実的だと考えています。
最初から完璧な仕様書を作ることに時間を使うのではなく、変更できる余地を残した状態で開発を進めるわけです。
「仕様を作ること」も開発の一部
これからの短期間開発では、
完成した仕様書を受け取ってから設計する
だけではなく、
開発しながら仕様を固めていく
という方法も重要になると思います。
特にFPGAやソフトウェアは、後から機能を変更できることが大きな特徴です。
ハードウェア側で最低限必要な部分を先に決め、変更可能な部分をFPGAやソフトウェア側に残しておく。
そうすることで、仕様書作成に必要以上の時間をかけず、早い段階から実際のハードウェアを使った開発を始めることができます。
短期間でプリント基板を開発するためには、「仕様書を早く書く」だけでなく、
どこまで決めれば開発をスタートできるのか
を考えることも、一つの設計技術なのかもしれません。
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