市販のロジアナで足りないなら、用途専用に作る
ロジックアナライザは、デジタル信号の確認やデバッグに便利な測定器です。
市販品にもさまざまな製品がありますが、
- チャンネル数が足りない
- 高機能モデルは価格が高い
- 設定が複雑
- 必要な信号だけ長時間監視したい
- 特定プロトコルだけ詳しく見たい
- 特殊なトリガ条件を設定したい
といった場面では、少し使いにくいことがあります。
そんなときの選択肢のひとつが、FPGAを使って用途専用のロジックアナライザを作る方法です。

必要な信号だけを見る、専用ロジアナ
一般的なロジックアナライザは、幅広い用途に対応できるように作られています。
一方で実際の開発現場では、
「この基板のこの信号だけ確認したい」
「この通信だけ長時間監視したい」
「この条件が出たときだけ記録したい」
ということも少なくありません。
FPGAを使えば、用途に必要な機能だけを組み込んだロジックアナライザを構成できます。
多チャンネルの信号をまとめて観測
FPGAは多数のデジタルI/Oを持つため、基板やコネクタ構成に合わせて多数の信号を同時に取り込むことができます。
例えば、
- GPIO
- CPU周辺信号
- SPI
- UART
- I2C
- パラレルバス
- 独自デジタル信号
などをまとめて観測できます。
使用するFPGAや基板構成によっては、数十チャンネルから100チャンネル級の信号を扱うことも可能です。
コネクタを工夫して、そのままデバッグ治具に
専用の接続基板やコネクタを用意すれば、対象基板の信号をまとめてFPGAへ接続できます。
例えば、
評価対象基板
↓
専用コネクタ・変換基板
↓
FPGAロジックアナライザ
↓
PCへデータ転送
↓
波形表示・解析
といった構成です。
対象基板に合わせて接続方法を設計できるため、毎回多数のプローブを接続する手間を減らせる場合もあります。
PCで波形表示
FPGAで取得した信号データは、PCへ転送して波形として確認できます。
例えばVCD形式などで保存すれば、対応する波形ビューアを使って信号を確認することができます。
専用測定器のようなリアルタイム表示ではなく、一度データを取得してから確認する構成になりますが、
デバッグ用途や長時間監視では十分実用的な場合があります。
波形だけではなく、通信内容まで解析
FPGAロジックアナライザの面白いところは、単純に0と1を記録するだけでなく、通信プロトコルを内部で解析できることです。
例えばSPIであれば、
- コマンド
- アドレス
- データ
- 通信回数
- 特定データの検出
などをFPGA内部で解析できます。
波形だけを眺めるのではなく、
「実際にどんなデータが流れているのか」
まで確認できます。
必要なデータだけ記録
長時間すべての信号を記録すると、データ量が非常に大きくなります。
FPGAでは、必要な条件を内部で判定し、必要な部分だけ記録することができます。
例えば、
「このSPIコマンドが来たら記録開始」
「特定のビットパターンが出たらトリガ」
「異常信号が発生した前後だけ保存」
といった使い方が可能です。
長時間監視にも
数秒程度の波形を見るだけではなく、長時間の監視にも利用できます。
例えば、
- 数時間に1度発生する異常
- 発生条件が分からない通信エラー
- 長時間運転時だけ発生する不具合
- 特定イベントの発生回数
- 通信状態の継続監視
などです。
FPGA側で条件判定を行えば、すべての信号を保存し続ける必要はありません。
自分でカスタマイズできるロジックアナライザ
市販ロジックアナライザとの大きな違いは、内部の動作そのものを変更できることです。
例えば、
- チャンネル数を変更
- サンプリング条件を変更
- トリガ条件を変更
- SPI解析機能を追加
- UART解析を追加
- 特定データの抽出
- カウンタ機能を追加
- ログ形式を変更
といった変更ができます。
デバッグの進行に合わせて、測定環境そのものを作り替えることができます。
こんな用途に向いています
多チャンネル信号の確認
多数のGPIOや制御信号をまとめて観測したい場合。
通信プロトコルの解析
SPI、UART、I2Cなどを波形だけでなくデータとして確認したい場合。
長時間デバッグ
短時間では再現しない不具合を長時間監視したい場合。
特殊トリガ
特定の信号条件やデータパターンが発生した場合だけ記録したい場合。
専用検査治具
量産検査や基板評価など、毎回同じ信号を確認する用途。
本番装置のデバッグ
市販測定器では接続や設定が難しい装置の内部信号を確認したい場合。
市販ロジックアナライザを置き換えることが目的ではありません
一般的な信号確認であれば、市販ロジックアナライザを使う方が簡単です。
FPGAによるカスタムロジックアナライザが向いているのは、
- チャンネル数が足りない
- 特殊な信号を見たい
- 長時間監視したい
- 専用トリガが欲しい
- プロトコル解析を自動化したい
- 対象基板専用の測定環境を作りたい
といった、市販品では少し合わない用途です。
5SQ FPGAボードを使った構成も可能
当社の5cm角FPGAボードを利用し、用途に合わせたロジックアナライザ用FPGAデザインを作成することもできます。
共通基板を使用することで、専用基板を毎回新規設計するよりも、比較的低コストで試しやすくなります。
例えば、
最初は32チャンネルで評価
↓
必要になれば64チャンネルへ変更
↓
SPI解析や特殊トリガを追加
といった形で、FPGAデザインを変更しながら機能を拡張できます。
FPGAデザインだけでも対応
すでにFPGAボードをお持ちの場合は、FPGAデザインのみの対応も可能です。
また、
- FPGA設計
- 接続用変換基板
- 専用コネクタ
- PCB設計
- PC側データ出力
- 波形表示用データ作成
などを組み合わせることもできます。
必要な範囲だけご相談ください。
生成AIを活用した短期間FPGA開発
現在は、RTL作成、テストコード作成、仕様整理などに生成AIを活用できるようになっています。
最終的な設計判断や実機確認はエンジニアが行いますが、定型的なロジックやテスト環境の作成を効率化することで、専用ロジックアナライザのような用途にも対応しやすくなっています。
「この信号を見たい」からご相談ください
最初からロジックアナライザの詳細仕様を決める必要はありません。
例えば、
「この基板の64本の信号をまとめて見たい」
「SPI通信のデータ内容を長時間監視したい」
「あるコマンドが来たときだけ記録したい」
「数時間に1回しか起きない異常を捕まえたい」
といった段階からご相談いただけます。
まずは、
- 観測したい信号数
- 信号電圧
- 最大周波数
- 必要な記録時間
- 対象プロトコル
- トリガ条件
- PCへのデータ転送方法
などを整理し、FPGAで実現可能な構成を検討します。
FPGAなら「見る方法」そのものを作れる
FPGAは製品に組み込むだけのデバイスではありません。
多数の信号を同時に取り込み、必要な条件を判定し、通信内容を解析することで、用途専用の測定器として使うこともできます。
市販ロジックアナライザでは少し足りない。
そんなときに、
見る信号、見る条件、見る時間まで自由に決める。
FPGAを使ったカスタムロジックアナライザも、デバッグを効率化するひとつの方法です。