古いICをFPGAで蘇らせる――装置は使いたい。でも、部品が手に入らない
「部品は製造中止になった。でも、装置はまだ使いたい」
電子機器を長く使っていると、こうした問題に出会うことがあります。
装置全体を新しくするには、費用も時間もかかります。今の装置で十分に役立っているなら、必要なところを改修して、そのまま使い続けたいという場合もあります。
そのときの選択肢の一つが、古いICの機能をFPGAで再現する方法です。
私も、実際にこうした置き換えに取り組んでいます。今回から「古いICをFPGAで蘇らせる」というシリーズで、その考え方や開発の過程を紹介していこうと思います。

装置を使う期間と、部品が買える期間は違う
装置がまだ使えるからといって、その中の部品も買い続けられるとは限りません。
補修用に同じ基板を作りたい。故障したICを交換したい。ところが、必要な部品がすでに製造終了になっていることがあります。
特に、その装置のために作られた専用ICでは、同じ機能の代替品を簡単に見つけられない場合があります。
製造設備の事情や、製品を取り巻く状況の変化など、供給が終わる背景はさまざまです。私も、数年という短い期間で製造終了になったICを見てきました。
作る側にとっての製品の区切りと、使う側にとっての装置の役割は、必ずしも同じタイミングでは終わらないんですね。
必要なデジタル回路を、FPGAで作り直す
FPGAには、設計によってさまざまなデジタル回路を構成できる特徴があります。
そのため、古いデジタルICやデジタルASICが担っていた機能も、内容によってはFPGAで再現できます。
ASICは、特定の用途に合わせて作られた専用ICです。そのICが装置の中で何をしていたのかを調べ、必要な処理や外部とのやり取りを、新しい回路として組み立てていきます。
狙うのは、装置が必要としている動作を引き継ぐことです。
元のICのすべての機能を完全に再現するのは難しくても、その装置で使っている機能を実現できれば、置き換えにつながる可能性があります。
システム全体を作り直さずに済む可能性
装置をゼロから作り直すのは、大きな仕事です。
回路だけでなく、ソフトウェアや周辺機器との関係も、あらためて考える必要が出てきます。
一方、問題になっている部分の機能を引き継げれば、既存の仕組みを生かしながら改修できる場合があります。
もちろん、どこまで残せるか、何を変更する必要があるかは、装置ごとに違います。接続する信号や動作タイミングなども、確認しなければなりません。
それでも、装置全体の更新ではなく、必要な部分の改修で使い続けられるなら、その意味は大きいと思っています。
「この装置でないと困る」
「まだ補修部品が必要だ」
そうした要求に対する方法として、FPGAによる機能の再現を考えています。
FPGA自身の供給期間も、選ぶ理由になる
置き換え先を選ぶときには、その部品が長く入手できることも大切です。
FPGAには、長期供給を前提としたシリーズがあります。
例えばAMDは、7シリーズを2040年まで、UltraScale+を少なくとも2045年まで供給する方針を公表しています。一部のデバイスでは、発売から通算28年に及ぶ製品ライフサイクルになるとしています。ここでいう期間は、製品として供給が続く期間の話です。
長く使う機器では、こうした供給計画を見ながら部品を選べることが助かります。
実際には、FPGA以外の周辺部品の入手性も気にすることになります。それでも、回路の中心となるデバイスを長期的な視点で選べるのは、利点の一つです。
古い機能を、これからも使える形へ
今回のシリーズでは、古いICが担っていた機能を整理し、FPGAで実現していく取り組みを紹介する予定です。
元のICと完全に同じものを目指すのか。装置に必要な機能へ絞るのか。どのような資料から動作を読み取るのか。
そうした判断も、置き換え開発の一部になります。
部品が手に入らなくなったからといって、装置としての価値までなくなるわけではありません。
必要な機能を引き継ぎ、これからも使える形にする。
FPGAには、そのために役立つ使い方もあるということを、実際の開発を通じて伝えていければと思っています。
English Summary
An electronic component may be discontinued long before the equipment using it is no longer needed.
One possible solution is to recreate the required digital functions in an FPGA. This can provide a path to maintaining existing equipment without redesigning the entire system.
The objective is to preserve the behavior the equipment depends on. Depending on the application, reproducing the functions actually used may be more practical than recreating every feature of the original IC.
Long-term device availability is another reason to consider FPGAs. This series will share my experience of investigating older IC functions and developing replacement implementations, including the decisions and verification work involved.
