短納期で基板を作る方法 ― パターン設計編
今回は、短納期でプリント基板を作るための「パターン設計」について書いてみます。
プリント基板は、設計方法によって製造価格や納期がかなり変わります。
高密度な基板を作ろうと思えば、層数を増やしたり、細い配線を使ったり、マイクロビアなどの特殊なビアを使ったりすることもできます。
もちろん、こうした技術を使えば小さな基板の中に多くの回路を入れることができます。
しかし、短期間で安く基板を作りたい場合は、できるだけ基板メーカーの標準的な製造条件の中で設計する方が有利です。
層数をできるだけ少なくする
基板の価格に大きく影響するものの一つが層数です。
4層、6層、8層と層数が増えていけば、一般的には製造価格も上がっていきます。
そのため、必要な性能を満たしながら、できるだけ少ない層数で配線できれば、基板を安く作ることができます。
また、層数が少ない方が設計そのものも分かりやすくなります。
短納期で基板を作る場合には、
「高密度に作れるか」
だけではなく、
「標準的な製造条件の中で、どこまで簡単に作れるか」
という考え方も重要になります。
配線のクロスを減らす
パターン設計で時間がかかる原因の一つが、信号線のクロスです。
部品のピン配置と接続先の位置が悪いと、配線同士が交差してしまいます。
当然、同じ層では交差できませんから、ビアを使って別の層へ移動しなければなりません。
クロスが増えると、
- ビアが増える
- 配線が長くなる
- 他の信号の通り道が減る
- 配線密度が上がる
- 設計時間が増える
という問題が出てきます。
逆に、クロスが少なければ、非常に素直に配線できます。
これはパターン設計を短期間で終わらせるためには、かなり大きなメリットです。
特殊なビアをできるだけ使わない
高密度基板では、マイクロビアやブラインドビア、ベリードビアなどを使用することがあります。
非常に便利なのですが、通常の貫通ビアと比べると製造条件が厳しくなり、価格も上がりやすくなります。
短納期・低コストを優先する場合には、できるだけ一般的な貫通ビアだけで配線できるようにした方が作りやすくなります。
つまり、
特殊な製造技術を使わなくても配線できる回路構成にしておく
ということです。
FPGAはパターン設計でも有利
ここでFPGAを使うメリットが出てきます。
FPGAのI/Oピンは、ある程度自由に機能を割り当てることができます。
一般的なCPUや専用ICでは、
「この機能はこのピン」
と決まっていることが多いのですが、FPGAでは回路に合わせてピン配置を変更できます。
この自由度をパターン設計に利用します。
例えば、コネクタとFPGAを接続する場合、FPGA側のピン配置をコネクタの並びに合わせて変更します。
そうすると、配線をほぼそのまま真っすぐFPGAへ持っていくことができます。
結果として、
- 配線のクロスを減らせる
- ビアを減らせる
- 配線密度を下げられる
- 少ない層数で配線できる可能性が高くなる
- パターン設計時間を短縮できる
というメリットが出てきます。

回路図をパターンに合わせて変更する
もちろん、良いことばかりではありません。
FPGAのピン配置を変更すると、回路図側も変更する必要があります。
通常は、
回路図を作る
↓
その回路図に従ってパターンを作る
という順番を考えます。
しかしFPGAの場合には、
回路図を作る
↓
部品を配置する
↓
配線しやすいようにFPGAのピンを変更する
↓
回路図へ反映する
という設計方法もできます。
つまり、回路図とパターンを行ったり来たりしながら設計します。
少し面倒に感じるかもしれませんが、実際には複雑なパターンを無理に引き回すより、FPGAのピンを変更した方が早い場合がかなりあります。
トータルの設計時間で考える
短納期開発では、
「回路図を一度決めたら変更しない」
ことよりも、
基板全体をどれだけ早く完成させられるか
を考えることが重要です。
特に高密度な基板では、回路図よりパターン設計の方が時間がかかることも珍しくありません。
そこで、回路図を少し変更することでパターン設計を大幅に簡単にできるのであれば、トータルではその方が早くなります。
FPGAというと、論理回路を書き換えられることが最大の特徴と思われがちです。
しかし、
基板のパターンに合わせてピン配置を変えられる
というのも、短納期基板開発では非常に大きなメリットです。
層数を減らし、クロスを減らし、特殊なビアをできるだけ使わない。
そしてFPGAのピン配置自由度を使って、できるだけ素直な基板を作る。
こうした設計方法も、基板を早く、安く作るための一つの方法だと思います。
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