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Zynq 5cm基板−小さいeMMCを選んだら配線できなかった ― BGAパッケージ選定の失敗


English Summary

After completing the first DDR routing pass, another serious problem was discovered while routing the remaining major components: the selected eMMC package could not be properly routed.

Because the board is only 50 mm × 50 mm, a compact 153-ball eMMC package was initially chosen. The device itself fit comfortably on the PCB, so the placement looked successful.

However, once routing began, it became clear that the 0.5 mm-pitch BGA created a major fan-out problem. Traces could not pass between the pads, and there was not enough space to place standard VIAs. In other words, the component physically fit on the board, but its internal signals could not be brought out using the intended standard PCB manufacturing rules.

More advanced technologies such as finer design rules, microvias, or Via-in-Pad could potentially solve the problem, but they would significantly increase manufacturing cost. For this project, that was not desirable.

The solution was to switch to a larger 100-ball eMMC package with easier routing. Unfortunately, the larger package no longer fit in the original location, which forced nearby components such as the FTDI device—and even the FPGA placement—to be reconsidered.

This also affected the DDR layout, which had already reached a promising first-pass routing stage.

The experience highlighted an important PCB design lesson: a smaller package does not necessarily make the overall board easier or smaller to design.

For BGA devices in particular, package pitch, VIA placement, fan-out strategy, PCB manufacturing rules, and cost must all be considered before selecting the part.


前回までで、DDRについては一通り信号を通すところまでできました。

まだ等長配線などの最適化は残っていますが、

「6層でもDDRはなんとか配線できそうだ」

という目処は立ちました。

そこでDDRを一旦置いておいて、ほかの主要部品の配線を進めることにしました。

ところが、ここで思わぬ問題が見つかりました。

eMMCです。

結論から言うと、

選んだeMMCから信号を引き出せませんでした。

5cm基板だから、小さいeMMCを選んだ

今回の基板は50mm × 50mmです。

当然ながら、できるだけ小さな部品を使いたくなります。

eMMCにはいくつか代表的なBGAパッケージがありますが、今回最初に選んだのは153ボールの小型パッケージでした。

100ボールタイプと比べても部品自体が小さかったため、

「5cm基板なら、当然こちらの方が有利だろう」

と考えました。

実際、PCB上に置いてみても問題ありません。

ほかの部品との位置関係を見ても、

「これなら5cm角に十分収まる」

と思っていました。

ところが、実際に配線しようとしたところで問題が発覚しました。

パッドの間から配線を出せない

eMMCから信号を引き出そうとしてみると、

パッドとパッドの間に配線が通りません。

さらにVIAを置こうとしても、十分なスペースがありません。

つまり、

eMMCは基板上には置けるのに、信号を外へ出せない

という状態です。

これはなかなか困りました。

部品配置だけを見れば、きれいに収まっています。

ところがPCBは、部品を置くだけでは完成しません。

当然ながら、そこから信号を引き出して配線できなければ意味がありません。

0.5mmピッチBGAの難しさ

今回選んだeMMCは、非常に細かいピッチのBGAパッケージでした。

こうしたパッケージでは、通常の配線やVIAだけではBGA内部から信号を逃がせない場合があります。

より細い配線ルールを使ったり、小径VIAやVia-in-Pad、ビルドアップ基板など、より高度な製造技術を使えば対応できる可能性はあります。

ただし今回は、

できるだけ一般的で製造しやすい6層基板

という方針です。

特殊な基板仕様にすると、当然ながら基板価格も上がります。

今回お願いする基板製造条件では標準的な方法でのファンアウトが難しいと判断し、153ボールのeMMCを使うことは諦めました。

小さな部品を諦めて100ボールへ

そこで次に検討したのが、100ボールタイプのeMMCです。

こちらは部品サイズ自体は大きくなります。

しかし、配線を引き出しやすくなります。

「少し大きくなるけれど、こちらを使えばいいだろう」

と思って交換することにしました。

ところが今度は別の問題が発生しました。

大きくなったeMMCを置く場所がありません。

5cm角ですから、数mmサイズが変わるだけでも周囲への影響がかなりあります。

そこで周辺部品を移動する必要が出てきました。

eMMC変更で主要部品まで引っ越し

eMMCを100ボールタイプへ変更するために配置を見直した結果、FTDIチップなどの周辺部品を移動することになりました。

さらにFPGA側の配置にも影響が出ました。

ここで困ったのがDDRです。

DDRについては、すでに一度すべての信号を通して、

「この配置ならいけそうだ」

というところまで確認していました。

完全に完成していたわけではありませんが、かなり目処が立っていた状態です。

ところがeMMCのパッケージ変更をきっかけに主要部品の配置まで変えることになり、DDR配線にも影響することになりました。

せっかく出口が見えてきたところで、また配置から考え直すことになったわけです。

「置ける」と「配線できる」は全く違う

今回かなり勉強になったのが、

部品が基板上に置けることと、実際に使えることは別

ということです。

特にBGAでは、この差が大きいと感じました。

QFPのようなパッケージであれば、細かいピッチでも外周方向へ信号を逃がすことができます。

しかしBGAの場合、信号ピンが部品の内側にも並んでいます。

そのため、

  • パッド間に配線が通るか
  • VIAを置けるか
  • 内側の信号をどう外へ逃がすか
  • 基板メーカーの標準ルールで製造できるか

まで考えておかなければなりません。

単純に、

「このパッケージの方が小さいから採用しよう」

では危険でした。

部品選びは基板製造条件まで考える

今回の失敗で、今後はBGA部品を選ぶときにかなり慎重になると思います。

データシート上のパッケージサイズだけではなく、

そのピッチを、自分が使うPCBメーカーの製造ルールで本当に配線できるのか

まで確認する必要があります。

小型部品を使えば、必ず基板を小さくできるとは限りません。

むしろ小さすぎるパッケージを選ぶことで、

  • 高密度基板が必要になる
  • 製造費が高くなる
  • 配線が難しくなる
  • 周辺部品を含めて再設計になる

ということもあります。

今回のeMMCは、まさにその例でした。

小さい部品を選んだのに、結果的には基板設計全体を大きくやり直すことになりました。

5cm角のような小型基板では、部品サイズだけではなく、

「その部品からどうやって配線を出すのか」

まで含めて部品を選ぶことが重要だと痛感しました。


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