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5cm ZYNQ基板製作記 基板製作後にAIレビュー――重大な配線ミスが見つかった

5cm ZYNQ基板が到着しました。

本来ならすぐに基板を点検したかったのですが、ほかの仕事が忙しく、まだ電源を入れられない状態が続いていました。

その間にChatGPT 6のAstraという高性能モデルが利用できるようになりました。基板データの確認にも使えそうだったため、実機を動かす前にKiCadデータをAIでレビューしてみることにしました。

その結果、回路の動作に影響する重大な配線ミスが1カ所見つかりました。

電源投入前にAIで基板データをレビュー

今回のレビューでは、完成した基板の写真を見るだけではなく、KiCadの回路図や基板データをAIに確認させました。

回路図とプリント基板の接続関係をたどり、ICのデータシート上の役割と実際の配線を照合していきます。

基板はすでに製造済みですが、電源を入れる前に問題を発見できれば、部品の破損や基板全体への影響を避けられる可能性があります。

「念のため、一度AIにもレビューさせてみよう」という判断でしたが、結果的には非常に重要な確認になりました。

ICのプラス側とマイナス側を間違えていた

AIレビューで見つかったのは、今回初めて採用したICの配線ミスでした。

本来はプラス側へ接続すべき信号を、マイナス側へ接続していました。単純な極性の間違いですが、ICの機能によっては正常に動作しないだけでなく、誤動作や部品破損につながる可能性もあります。

レビュー後に回路図、基板パターン、ICのデータシートを照合し、実際に接続が間違っていることを確認しました。

AIが出した指摘だけでミスと判断したわけではありません。最終的には設計データとデータシートを人間が確認し、問題であると判断しています。

表面パターンだったため修正できそう

重大なミスではありましたが、不幸中の幸いもありました。

間違っている配線が基板表面に出ていたため、手作業による修正ができそうです。

現時点では、次のような対応を考えています。

  1. 対象のICを基板から取り外す
  2. 間違っている表面パターンを切断する
  3. 正しい接続先へ細い配線を追加する
  4. ICを再実装する
  5. 導通と短絡を確認してから電源を入れる

[IMAGE 2:誤配線の修正方法
内容:ICを取り外し、間違った表面パターンをカットして、正しい端子へジャンパー線を追加する流れを示す概念図
挿入位置:「表面パターンだったため修正できそう」セクション直後]

ICを一度取り外す必要があるため、簡単な修正ではありません。それでも、内層で完全に接続されている場合と比べれば対応しやすい状態です。

表面パターンを切って正しい配線へ変更できれば、基板を作り直さなくても動作確認まで進められる可能性があります。

ただし、実際に修正して動作を確認するまでは「直った」とは言えません。まずは慎重に改修し、電源系の抵抗値や短絡の有無を確認する必要があります。

初めて使うICの確認が甘かった

振り返ってみると、問題のICは今回初めて使用した部品でした。

使い慣れた部品であれば、端子の役割や回路構成をある程度把握しています。しかし、初めて使うICではデータシートの読み違いや、シンボルの端子名に対する思い込みが起きやすくなります。

特にプラス入力とマイナス入力、入力と出力、電源端子と基準端子などは、回路図を眺めただけでは間違いに気づかないことがあります。

今回の設計では、基板を5cm角に収めることやDDR3Lを含む多数の配線に集中していました。そのため、個別部品の確認が十分ではなかった部分があったのだと思います。

一人で設計するとチェックが甘くなる

今回、改めて痛感したのは、一人で設計と確認を続ける難しさです。

自分で作成した回路図や基板パターンは、どうしても「正しく作ったはず」という前提で見てしまいます。同じデータを何度確認しても、思い込みが残っていると同じ場所を見落とします。

企業であれば、別の設計者によるレビューを行う方法があります。しかし、一人で開発している場合は、設計者とは異なる視点を用意することが簡単ではありません。

今回のAIレビューは、そこを補う「もう一人の確認者」として機能しました。

AIレビューは設計者の代わりではない

ChatGPT 6 Astraを使ったレビューでは、想像していた以上に細かく回路と基板の接続を確認できました。

今回のように、人間が見落としていた重大な問題を発見できたことには大きな価値があります。もしレビューを行わずに電源を入れていたら、原因の分からない動作不良に悩んでいたかもしれません。

一方で、AIの指摘が常に正しいとは限りません。回路の意図、使用条件、部品の仕様などをAIが正しく把握できていなければ、問題のない箇所を誤って指摘する可能性もあります。

AIレビューは、次のような使い方が適切だと考えています。

  • AIに回路や基板の問題候補を広く探させる
  • 指摘された箇所を回路図と基板データで確認する
  • データシートやメーカー資料で仕様を確認する
  • 最終的な修正判断は設計者が行う
  • 修正後にERC、DRC、導通確認を改めて実施する

AIは判断を完全に任せる相手ではなく、見落としを減らすための強力なレビュー支援ツールです。

本当は基板発注前に行いたかった

今回は基板が完成した後にAIレビューを行いました。

電源投入前に問題を発見できたので、手遅れではありません。しかし、ICの取り外しやパターンカット、ジャンパー配線といった改修作業が必要になりました。

同じレビューを発注前に行っていれば、基板データを修正するだけで済んだはずです。

今後は基板設計の工程にAIレビューを組み込み、少なくとも次の段階で確認したいと思います。

  • 回路図完成時
  • 部品配置完了時
  • 配線完了時
  • ガーバーおよび実装データ出力前
  • 基板到着後、最初の電源投入前

確認工程が増えるように見えますが、AIを使えば短時間で広い範囲を点検できます。製造後の改修作業と比較すれば、発注前のレビューに時間を使う価値は十分にあります。

まとめ

5cm ZYNQ基板が到着した後、電源を入れる前にChatGPT 6 Astraを使ってKiCadデータをレビューしました。

その結果、初めて使用したICで、本来プラス側へ接続すべき信号をマイナス側へ接続していた重大なミスが見つかりました。

幸い、問題の配線は基板表面に出ています。ICを取り外し、パターンを切断して正しい接続を追加すれば、手作業で修正できる可能性があります。

一人で設計していると、どうしても自分の思い込みによってチェックが甘くなります。今回のAIレビューは、設計者とは異なる視点から問題を探す手段として非常に有効でした。

ただし、AIの回答をそのまま正解とすることはできません。指摘内容を回路図、基板データ、データシートで確認し、最終的には設計者が判断する必要があります。

今回の経験から、AIレビューは基板完成後だけでなく、発注前の標準工程として取り入れるべきだと感じました。

English Summary

AI Review Finds a Critical PCB Error After Manufacturing

After the 50 mm Zynq board arrived, its KiCad design files were reviewed with ChatGPT 6 Astra before the first power-up.

The review identified a critical connection error in an IC that had not been used in previous designs. A signal that should have been connected to the positive side was mistakenly routed to the negative side. The issue was then verified manually against the schematic, PCB layout, and device documentation.

Fortunately, the incorrect trace is accessible on the outer PCB layer. The planned rework involves removing the IC, cutting the incorrect trace, adding a jumper to the proper connection, and reinstalling the device. The board will then undergo continuity and short-circuit checks before power is applied.

This case demonstrates how AI can act as an additional reviewer, particularly for engineers working alone. However, AI findings must still be verified using the original design files and manufacturer documentation. Based on this experience, AI-assisted reviews should be performed before fabrication as well as before the first power-up.

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