5cm Zynqボード開発 ― プリント基板の部品選定で考えたこと
English Summary
Selecting components is an important part of developing the 5 cm Zynq board.
Compared with the past, purchasing electronic components has become much easier thanks to online distributors such as DigiKey, Mouser, and LCSC. Prices and stock can be checked immediately, and parts can often be delivered within a few days. However, component selection itself has become more difficult, especially since the global semiconductor shortages. Even today, specific parts may suddenly become unavailable, have very long lead times, or reach end-of-life.
For a compact 5 cm × 5 cm board, component size is also a major consideration. It is not enough for a device to physically fit on the PCB; there must also be enough space for routing, surrounding components, power circuitry, and assembly.
Another important strategy is to minimize the use of highly specialized parts. Components that cannot easily be changed, such as the Zynq FPGA itself, are kept to a minimum, while more general-purpose parts are preferred wherever possible. Availability of second-source or alternative components is also considered for long-term production.
The availability of parts at the PCB assembly provider is now another key factor. Instead of selecting components based only on performance and price, modern PCB development requires considering availability, size, manufacturability, long-term supply, and alternative sourcing from the beginning.
In this project, component selection is therefore treated as an essential part of the overall PCB design process.
5cm Zynqボード開発では、回路設計やプリント基板設計の前に、まず「どの部品を使うか」を決める必要があります。
今回は、この部品選定について書いてみたいと思います。

部品は以前より買いやすくなった
部品の購入自体は、以前と比べると非常に便利になりました。
昔は半導体商社に電話やFAXで問い合わせて、見積もりを取り、そこから注文するということも珍しくありませんでした。
現在は、DigiKey、Mouser、LCSCなどのオンライン半導体商社から直接購入できます。
価格や在庫もオンラインで確認でき、そのまま注文できるので、この点では非常に便利になりました。
到着も早く、海外の商社から購入しても数日程度で届くことがあります。
以前は複数の商社から部品を集め、自分のところに届いた部品を仕分けし、足りないものを追加発注する、といった作業もよくやっていました。
現在は基板製造と部品実装をまとめて依頼することが増えたため、部品そのものを自分で受け取らないケースも増えています。
その意味では、プリント基板を作る環境はかなり楽になりました。
一方で「欲しい部品が買えない」ことが増えた
ところが、部品選定そのものは以前より難しくなったように感じます。
特にコロナ以降、半導体不足が大きな問題になりました。
現在は当時ほど極端ではありませんが、それでも、
- 特定の部品だけ在庫がない
- 突然入手しにくくなる
- 納期が非常に長くなる
- 生産終了(EOL)になる
といったことがあります。
そのため、最近では
「この部品が性能的に最適か?」
だけではなく、
「この部品は実際に買えるのか?」
という確認が、部品選定の最初の重要な条件になっています。
どれだけ優れた部品でも、購入できなければ基板は作れません。
5cm角という制約
今回のZynqボードには、もう一つ大きな条件があります。
基板サイズを5cm角に収めることです。
そのため、単純に機能だけで部品を選ぶことはできません。
同じ機能のICでも、
- パッケージサイズ
- 周辺部品の数
- 配線のしやすさ
- 必要な放熱面積
- 電源回路の面積
などを考える必要があります。
ICそのものが小さくても、周辺に大きなコンデンサやインダクタが必要であれば、結果的に大きな面積を使います。
さらにプリント基板では、
「部品は置けるけれど、配線できない」
という問題もあります。
今回の5cm Zynqボードでも、部品サイズだけではなく、その周囲に十分な配線スペースを確保できるかまで考えながら選定しています。
このあたりは、プリント基板のパターン設計について書くときに、もう少し詳しく紹介したいと思います。
特殊な部品はできるだけ減らす
今回の基板には、どうしても変更しにくい部品があります。
代表的なのはZynq FPGAそのものです。
また、FPGAメーカー側から使用する部品や条件がある程度指定されているものもあります。
こうした部品は簡単には変更できません。
そのため、それ以外の部分では、できるだけ特殊な部品を使わないようにしています。
例えば、
- 抵抗
- コンデンサ
- 電源IC
- ロジックIC
- クロック関連部品
などは、できる限り一般的なものを選びます。
一つの特殊な部品が入手できないだけで、基板全体が作れなくなるという状況はできるだけ避けたいからです。
長期間作るなら共通部品が強い
一度だけ作る試作基板であれば、その時に購入できる部品を使ってしまっても大きな問題にはなりません。
しかし、1年、2年、あるいはそれ以上作り続ける可能性がある基板では話が変わります。
特定メーカーの特殊部品だけに依存してしまうと、その部品が生産終了した時に基板全体を変更しなければならなくなります。
そのため、可能なところでは、
他メーカーにも同じような部品があるもの
を選ぶようにしています。
いわゆるセカンドソースです。
抵抗やコンデンサなどはもちろんですが、一般的なロジックICなども比較的代替しやすい部品です。
電源ICは完全互換でなくても交換できる
電源ICについては少し考え方が違います。
電源ICは同じピン配置の完全互換品があるとは限りません。
それでも、例えば
「5Vから1.0Vを作る」
という目的のIC自体は非常に多く存在します。
そのため、将来その電源ICが入手できなくなった場合には、基板パターンを少し変更して別の電源ICに切り替える、ということもできます。
もちろん基板改版は必要になりますが、FPGAそのものを変更するよりははるかに影響が小さくなります。
今回も、
変更できない部品と、最悪の場合変更できる部品を分けて考える
ようにしました。
実装業者の在庫も部品選定条件になる
最近は、部品そのものの価格だけでなく、
実装を依頼する会社がその部品を調達しやすいか
ということも重要になっています。
今回の基板では、プリント基板製造と部品実装をまとめて依頼する予定です。
そのため、
- 実装業者が在庫を持っているか
- 部品をすぐ調達できるか
- 実装可能なパッケージか
- 部品価格が極端に高くないか
といった条件も見ながら選定しています。
以前は「部品を買ってから基板を作る」という感覚が強かったのですが、現在は
基板製造・部品調達・実装まで含めた全体で部品を選ぶ
という考え方に変わってきました。
部品選定も基板設計の一部
今回5cm Zynqボードを作っていて改めて感じたのは、部品選定も立派な基板設計の一部だということです。
性能だけを見て部品を選ぶのではなく、
- 入手できるか
- 価格は適切か
- 小さくできるか
- 配線できるか
- 実装できるか
- 長期間供給されそうか
- 代替部品があるか
まで考えます。
特に5cm角のような小型基板では、部品一つの選択が基板全体にかなり大きな影響を与えます。
今回のZynqボードでも、実際には部品を置いて、配線してみて、
「これは厳しい」
となって変更したものもあります。
次回は、そのあたりも含めて、5cm角の中に部品をどう配置していったか、あるいは実際のプリント基板設計について書いてみたいと思います。
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